腸内環境の改善には「食物繊維」も大切

 

腸内環境の改善には、「食物酵素」に加え、「食物繊維」を多く摂ることも非常に重要です。

 

食物繊維は腸内細菌のエサになったり、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促し大腸内の残留物を排出したりするため、腸内の改善に必要不可欠だと言われています。

 

その食物繊維は水に溶けやすい水溶性と水に溶けにくい不溶性のものに分類され、水溶性は海藻や食べやすい野菜や果物に、不溶性はごぼうやかぼちゃなどの野菜や玄米 といった穀類などよく噛む必要がある食材に多く含まれています。

 

   食物繊維の働き


      ①便の構成要素となり、便量を増やす
      ②腸の蠕動運動を活発にして、内容物を速やかに移動させる
      ③発がん物質、有害菌、有害物質を吸着して、便として排泄する
      ④消化管の働きを活発にする
      ⑤糖の吸収速度を遅くして、食後の血糖値の上昇を防ぐ
      ⑥胆汁酸を吸着して、便として排泄する
      ⑦コレステロールの余分な吸収を防ぐ
      ⑧ナトリウムの過剰摂取を防ぐ
      ⑨善玉菌のエサになり、腸内環境を改善する
      ⑩膵液や胆汁の分泌量が増え、酵素の量を多くする
      ⑪不溶性食物繊維キチン・キトサンは、脂肪の過剰摂取を抑制する
      ⑫短鎖脂肪酸のエサになる

 

(鶴見隆史『「酵素の謎」――なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか』より抜粋)

 

他にも消化管の働きを活発にしたり、糖の吸収速度を遅くして食後の血糖値の上昇を防いだりする働きもあります。

 

また水溶性食物繊維には、コレステロールや糖質の余分・急激な吸収を妨げて、血清コレステロールや血糖の上昇を抑えてくれる働きがありますし、不溶性食物繊維には腸の働きを刺激して腸内に発生した余分な有害物質を排出させる働きがあります。

食物繊維は腸内改善のために大切―酵素免疫生活

さらに、食物繊維やオリゴ糖、デンプンといった質の良い炭水化物を適量食べている時に、腸内で「発酵」という現象が起こります。この「発酵」が起こるのは、腸内の微生物である善玉菌が働き、有機物を分解している時なのですが、この時に免疫力を大きく向上させる「短鎖脂肪酸」という有機酸が作り出されます。

 

短鎖脂肪酸とは、最もエネルギーになりやすい脂肪酸のことで、人間や動物の体液(粘液)のかなりの部分を作ったり、細胞のミトコンドリアを活性させたりするなどして、免疫力の向上に寄与しています。

 

近年、食物繊維の評価が急上昇するようになったのは、このように人体の健康維持のためにたくさんの良い影響を与えることが分かってきたからだと言われていま す。これらの食物繊維がもたらす効果には糖尿病や動脈硬化、脂質異常症などを予防しますし、便秘も解消してくれる働きもあります。

 

しかし日本人の食物繊維の平均摂取量はだんだん減ってきており、今や摂取量は相当低くなってしまっているのが現状です。

 

糖尿病やがんなどをはじめとした生活 習慣病が増加している背景には、食物繊維の不足による腸内環境の悪化が関係していると考えられるため、食物繊維を積極的に摂るようにして、腸内環境を改善 していくことが、健康維持のためには大切です。

 

食物酵素だけではなく、食物繊維を豊富に含む野菜や果物、海藻やきのこ類、発酵食品などを積極的に食生活に採り入れることは、腸の健康を保つために必要不可欠なのです。

腸内環境を改善に大切な食物繊維―酵素免疫生活