テロメラーゼ

ここでは代謝酵素の一種である「テロメラーゼ」について述べています。

 

テロメアとは、染色体の端に存在している非コードDNAの繰り返し配列のことで、このテロメアの長さが私たちの寿命や老化、疾患などに関わっているといいます。

 

エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル氏らによる『細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』(森内 薫 訳)のなかで、このテロメアについて、以下のように書かれています。

 

 細胞が分裂するたびにテロメアは短くなる。それが細胞の老化の速度を決定し、さらにそれをもとに細胞の死期が決定される。だが私たちの研究や、世界各地のラボの研究からは、驚くべき発見がもたらされている。染色体の末端は伸びることもある――。その発見が示唆しているのは、老化とは早まったり遅くなったりする動的なプロセスであり、ある面においては逆転すら可能だということだ。老化とは長いあいだ考えられてきたように、病気や衰退へと一直線に滑り落ちる坂道ではない。人間はみな、年はとる。だが、どのように老いるかを大きく左右するのは細胞の健康状態なのだ。(細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』NHK出版 p19

テロメラーゼについて書かれている『テロメア・エフェクト』
テロメラーゼについて書かれている『テロメア・エフェクト』

テロメアに関わる酵素テロメラーゼ

つまり、いつまでも健康で長生きできるか、ということや、寿命が短くなったり、病気になりやすくなったりすることに関しては、染色体の端に存在するテロメアの伸長が関係しているのです。

 

そして、テロメアの伸長には「テロメラーゼ」と呼ばれる、細胞分裂の際に失われたDNAの修復を受け持つ酵素が関わっているとされています。このテロメラーゼについても、エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル氏らによる『テロメア・エフェクト』(森内 薫 訳)に詳しく書かれていますので、引用してみたいと思います。

 

細胞が分裂するたびにテロメアは徐々に短くなり、ある危機的な数値に達すると、細胞分裂をやめるようにサインを出す。だが、テロメラーゼは細胞分裂のたびにDNAを補填し、染色体の端を再建してテロメア短縮に対抗する。そのおかげで染色自体は保護され、その正確なコピーが新しい細胞のためにつくられる。こうして細胞は自己複製を繰り返していくことができる。細胞分裂にともなうテロメアの短縮を、テロメラーゼは遅くしたり、防いだり、覆すことすらできるのだ。テロメアは、テロメラーゼによって元どおりになるともいえる。(細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』NHK出版 p78

 

 重要なのは、テロメアに対するテロメラーゼの行動をうまくコントロールし、正しいときに正しい細胞に働きかけるようにさせることだ。そうすることでのみ、テロメラーゼはテロメアと私たちの体の健康に保つことができる。どのようにそれを行うべきか、私たちの体はもともと知っている。生活のしかたを大きく改善すれば、それを後押しすることができるのだ。(細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』NHK出版 p84

テロメラーゼについて書かれた『テロメア・エフェクト』

テロメラーゼを増やすには?

このようにテロメラーゼはテロメアの伸長に深く関わっているのです。では、テロメラーゼがたくさん作られることで、テロメアを長くするためにはどうすれば良いのでしょうか?

 

その答えは『テロメア・エフェクト』の著者が述べているように「生活のしかたを大きく改善」することであって、テロメアが伸びたり、酵素のテロメラーゼが増えたりすることを謳っているサプリメントを摂取することではありません。

 

また、人工的なサプリメントの摂取によって意図的にテロメアを伸ばそうとすることは、発がんなどのリスクを伴うといいます。

 

したがって、テロメラーゼを増やしたり、テロメアを伸ばしたりするために大切になってくるのは、食事、睡眠、運動という三つの生活習慣に気をつけることです。

テロメラーゼを増やすために大切な三つの習慣
テロメラーゼを増やすために大切な三つの習慣

この辺りの詳しい内容について知りたい方は、『細胞から若返る! テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル 著 森内 薫 訳 NHK出版) をご自身で手に取っていただきたいと思いますが、酵素の働きを良くする生活習慣も、テロメアを伸ばすための生活習慣と不思議なことにほとんど重なり合っています。