酵素の種類と働き

酵素の種類と働き―酵素免疫生活

酵素の種類と働きのポイント

  • 酵素には主に「代謝」と「消化」という二つの大切な役割がある。
  • 「代謝」とは簡単に言えばエネルギーを栄養から取り出したり、そのエネルギーを使って体の組織や器官を組み立てたりすることであり、「消化」とは糖質・たんぱく質・脂質の三大栄養素が腸できちんと吸収出来るように、分子レベルにまで細かく分解すること。
  • 酵素は体内に置いては、それ自身は変化しないまま、物質と物質をくっつけて分解や合成などの化学反応を素早く起こさせる「触媒」として働いている。

酵素の種類

「もし酵素の力を消化酵素に割り当てなければならないとしたら、その分、体を働かせるために使う酵素が少なくなり、病気を招くことになります。しかし、外部からの酵素が消化を助ければ、酵素が消化のために使われることなく、本来の仕事に集中できるわけです。つまり、体が正しく働くために酵素の力を十分に発揮させることができるようになります。それが健康を保ち、病気を防ぐことにつながるのです。」(エドワード・ハウエル『酵素栄養学』より

 

人間が生命活動を維持し続けていくのに必要不可欠な酵素ですが、その酵素は現在、2万種類以上存在することが分かっています。

 

酵素は大きく分けると、体内で作られる「潜在酵素(体内酵素)」と、外部から取り入れる「体外酵素」の二種類があります。

 

さらに、「潜在酵素」は、生命活動を行う「代謝酵素」と食物の消化を行う「消化酵素」の二つに分けられます。また、「体外酵素」は「食物酵素」とも呼ばれており、その役割は食物の消化です。

 

ちなみに2万種類以上も存在している酵素のうち、消化酵素はアミラーゼやぺプリン、リパーゼなどをはじめとして、わずか24種類しかありませんが、それらの消化酵素は、お財布の中身で言えば、1万円札や5千円札のように、全体の酵素の中で大きな比重を占めています。

 

また、潜在酵素は体の中で必要に応じて「代謝」と「消化」の二つの役割に配分されています。

 

からだが本来の健康な状態であれば、潜在酵素の多くは新陳代謝を促すための「代謝」の役割に使われていますしかし、過食・飽食などによる食物の大量摂取や消化しにくい加工食品や食品添加物などが増えたことが原因で、現代人の多くは「消化」の方ばかりに潜在酵素が使われてしまっています。

代謝酵素と消化酵素のバランス
健康な人ほど潜在酵素は代謝のほうに回される

大工の役割を果たしている酵素

 

酵素は分かりやすくいえば、家を作る大工の役割を果たしています。人間の身体が家だとすれば、炭水化物・たんぱく質・脂肪の三大栄養素は原料、補酵素の働きをするビタミンやミネラルやからだの調子を整える食物繊維、ポリフェノールなどは家を組み立てるための道具です。

 

そして肝心の酵素は体内において家を作る大工なのです。このような、大工としての働きをする酵素は体の新陳代謝に深く関わっています。

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触媒としての酵素の働き

酵素の中身は一般的にはたんぱく質だと認識されていますが、酵素研究の第一人者である鶴見隆史氏によると、その本質はたんぱく質ではないそうです。

 

酵素は確かに21種類のアミノ酸から出来ているたんぱく質に囲まれていますが、それはあくまで外殻であり、その殻のなかで酵素は独自のはたらきをしているというのです。


そして、「アミノ酸(タンパク質)の外殻を持つ酵素は、DNAによって作られ、DNAの構造上に存在する」と考えられているそうです。

 

また、鶴見氏によれば「酵素がほかのタンパク質と違うのは、酵素には活性の中心と呼ばれる「穴」があり、そこにほかの物質をとらえ、分解や合成などの化学反応をすばやく起こさせる不思議な力がある」と言います。

 

酵素のこのような働きは「触媒」作用と呼ばれています。「触媒」とは、結婚するカップルを成立させる仲人のようなもので、「それ自身は変化しないまま、接触する周囲の物質の化学反応を早める物質」のことを指します。

 

この「触媒」は、通常は熱が高いほどその働きが大きくなるとされていますが、酵素は生きて活動しているため、44度から50度あたりでもっとも活性化するそうです。また、人間の体内では38度から40度でもっとも活性化するといいます。

 

それに加え、酵素は水素イオン指数であるpHの指数にも影響を受けるようです。人間の体は弱アルカリ性が良いと言われますが、消化管などは酸性が多く、そのpHの指数によって酵素の活性の度合いも違ってくるようです。

参考文献

新谷弘実 『病気にならない生き方 ミラクルエンザイムが寿命を決める』 サンマーク出版
新谷弘実 『病気にならない生き方2 実践編』 サンマーク出版

新谷弘実 『酵素力革命 「ニューザイム」を活性化する生き方』 講談社
鶴見隆史 『「酵素」が免疫力を上げる! 病気にならない体を作る、酵素の力』 永岡書店
鶴見隆史 『酵素の謎――なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか』 祥伝社新書

ディッキー・フュラー 竹内進一郎訳 『病気を癒し、老化を防ぐ酵素の治癒力』 現代書林

内藤眞禮生 『水素の力 酵素の力 人類を助ける究極の栄養素』 アスペクト

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