加熱食と酵素を含む生食

酵素は生の野菜や果物、発酵食品、刺身などに含まれていますが、熱に弱い性質があり、50℃を超えると効果を失ってしまうため、加熱食や加工食品には含まれていません。


そのためお菓子類やインスタントラーメン、揚げ物やハンバーガーなどのファーストフードばかりを食べていると、酵素が補充されるどころか、それらの食品は消化しにくいため、消化のために大量の酵素を浪費することになり、慢性的な酵素不足に陥ってしまうことが考えられます。


そのような事態になってしまうと、「消化」ばかりに酵素が使われて「代謝」のほうになかなかまわらなくなるので、新陳代謝の能力が下がり、免疫力が低下することで病気になりやすくなってしまうことが考えられます。


したがって、普段の食生活において、加工食品や加熱食ばかりを摂るのではなく、酵素が含まれている生の食材を積極的に摂っていくことが重要だと考えられます。


もちろん、食事の全てを生食にするのは不可能ですし、加熱食には風味や殺菌効果をはじめとした加熱食の良さがあるため、食事の全てを生食にするべきではないと思われます。


しかし加工食品や加熱食ばかりを食べている場合には、加熱していない新鮮な野菜や果物、発酵食などを食生活に出来る範囲で取り入れていく、ということが大切なのです。ちなみに、酵素研究の第一人者である鶴見隆史氏は、生食と加熱食の割合は6対4が理想だとしています。

 

ところで、イギリスのある動物実験でネズミを二つのグループに分け、片方には人間が食べる加熱食を与え、もう片方には生野菜と生牛乳を二年半与え続けたところ、加熱食が与えられたネズミのグループは、免疫力が低下したうえ、繁殖能力や行動力も低下したそうです。

 

さらに感染症にかかりやすく、すぐに死んでしまうネズミも出てきたそうです。また、死んだネズミを解剖してみると、腸炎や肺炎、貧血、心膜炎などの疾患も見つかったとされています。


そのグループのエサにビタミンやミネラルを加えてみても、肺や腎臓、生殖器などに疾患が発生し、中にはがんを発症したネズミもいたと言われています。しかしその反対に、生食を与えられたネズミたちは病気しらずで健康だったそうです。

この実験結果は、生食に含まれる酵素がいかに健康維持のために大切な役割を果たしているかということの証明だと思われますが、これは人間についても当てはまるようです。

イヌイットやネイティブ・アメリカンの人々は、生の肉や野菜などを食べ、ずっと健康的な生活を送っていましたが、やがて文明に近づいていくことで、調理されている加工食品や乾燥食品、ファストフードなどを食べるようになった先住民の人たちは、動脈硬化や高血圧、心臓病などをはじめとした多くの病気に苦しめられるようになったとされています。

またアフリカでも同様のことが起きており、1960年代頃まで無かった病気が次々と発生するようになったそうです。その最大の原因は食の欧米化によって肉や乳製品、パンや砂糖菓子、チョコレート、スナック菓子などが欧米から大量に入り込んできたことによると言います。

このような、これまで健康だった人たちが病気になってしまうという出来事は、食物繊維や抗酸化物質であるファイトケミカル、ビタミンやミネラルがほとんど含まれていないうえ、酵素も全く含まれていない食品が、いかに病気が引き起こしやすくするかということを物語っているように思われます。

加熱食と酵素を含む生食―酵素免疫生活